親知らず いざ

案内されたのは、前回来た診察台。
座ったら口をゆすいで、血圧測定のものを腕に巻かれ、点滴が増やされ、指先にモニターをはめた。

助手の先生が手を触って、「すっごく冷たい!緊張してるの?」って聞いてくれた。「もう眠くなるお薬入れてるからね!」って言われたけど、まだ目の前の風景はしっかり見えてて、駐車場があって、車が並んでて、青空で…

次の瞬間、耳に入ってきたのは「こりゃ大変だ」、そして目を開けたら、見覚えない男の先生。え、すみません、私、覚醒しちゃってるんですけど…!!

と、思った次の瞬間は助手の先生が私に、「抜けた歯、持って帰る?」って聞いていた。

病室から送り届けてくれた看護師さんが「よく頑張ったね!部屋に戻ったら寝ちゃおう。そしたら全部忘れられるから。」って言った。

そして、誰かが看護師さんに「鎮静剤、最大量で使ってるからよろしくね」って言ってた。

次に覚えているのは、車椅子からベッドに移る瞬間の様子。

そしてあまりの激痛で飛び起きたのが、16時過ぎだった。

ベッドサイドには、抜かれた歯。
スマホ見たら、「終わった、今、ベッド戻ってきた。なんかすごい大変だったみたい」と主人に送ったらしいライン。

何があったのかよく分からないけど、送ったラインの時間が正しいならば、私は2時間あの診察台で戦っていたようだ。